校庭と銀杏と友達

小学生の頃、写真クラブに所属していた。
何故写真クラブなのか?
思い出せない。
運動嫌いだったから自然に文化系クラブ、
そして特になんの意味もなく入ったんだろう。
 
写真、カメラの知識は何もなかったけれど
初めて自分で撮った写真を現像した時の感動は
今もちょっとだけ覚えている。
 
理科室の隅っこにある暗くて狭い部屋。
先生が指示するまま、よくわからない液体へ順番につけていく。
真っ白だった紙にだんだんと見覚えのある校庭と銀杏の木、
そして友達の姿が浮かび上がった時は興奮した。
確かに私がシャッターを押した瞬間の場面。
真っ暗な部屋に浮かぶ、赤くぼうっとした光りも
なんだか秘密の儀式をしているような雰囲気でドキドキした。
洗濯物のように吊るされた写真の一枚一枚を見て
友達とスゴイスゴイと言い合った。
 
あの時の写真、どこを探しても見つからない。